トラフグの産卵場と系群の特定


[要約]
 水深(20〜30m),流速(平均0.5ノット),底質(砂礫),水温(15〜18℃)のほか,海底地形,潮の流れ方及び稚仔魚の成育場とのセットで産卵場が形成される。また,産卵場への回帰性が実証され,各産卵場ごとに系群が形成されて成長につれて回遊が始まり,東シナ海〜日本海西部,遠州灘〜熊野灘,新潟以北の日本海の主な3つの海域で複数系群が混合することが明らかになった。

南西海区水産研究所資源管理部内海底魚資源研究室;資源増殖部魚類増殖研究室

[連絡先] 0829-55-0666
[推進会議]南西ブロック
[専門]  生態系
[対象]  
[分類]  研究

[背景・ねらい]
 最近、トラフグの漁獲量が減少し、資源の回復及び増大が切望されている。そこで、有効的な資源管理及び資源培養方策を打ち出すことを目的に、トラフグの産卵場形成及び稚仔魚の成育場の特性を把握し、系群形成、分布・回遊実態及び産卵場への回帰性を明らかにした。

[成果の内容・特徴]

[成果の活用面・留意点]

[具体的データ]

要約
 トラフグの産卵場は、水深20〜30m、平均流速0.5ノット、砂礫底質、水温15〜18℃の条件のほか、海底地形、潮流及び稚仔魚の成育場とのセットで形成される。系群は各産卵場周辺海域ごとに形成され、成長に伴って回遊が始まり、未成魚・成魚期には東シナ海−日本海西部海域、遠州灘−熊野灘、北部日本海沿岸の3海域で複数系群が混合するが、成熟すると各産卵場へ回帰する。

図1.布刈瀬戸から標識放流されたトラフグ親魚の再捕海域
  ◆:産卵期以外の遠方海域での再捕 ■:産卵期の再捕
  ◎:放流地点 図中の海域名:産卵場


[その他]
研究課題名:中回遊型魚類の回帰特性の解明と資源管理型技術の開発
予算区分 :特別研究(農林水産技術会議)
研究期間 :平成6年度〜8年度
研究担当者:佐藤良三、鈴木伸洋
発表論文等: