近年における瀬戸内海東部群マダイ資源の動向
- [要約]
- 友ヶ島周辺海域は瀬戸内海東部群マダイの主要な産卵場、越冬場であり、かつ、分布の中心でもある。当海域を漁場としている加太地区では、一本釣が主で 1-3歳魚、タイ網が 2-3歳魚、建網が 1-2歳魚を多獲しており、加太地区では 3歳魚以下の若齢魚が漁獲主体となっている。
和歌山県農林水産総合技術センター水産試験場 開発部
[連絡先] 0735-62-0940
[推進会議]瀬戸内海ブロック
[専門] 資源生態
[対象] たい
[分類] 研究
- [背景・ねらい]
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友ヶ島周辺海域は瀬戸内海東部群マダイの分布の中心であり、この海域を漁場としている加太地区における近年の漁獲量は県全体(紀伊水道)の約21%を占めている。
この加太地区におけるマダイ漁獲物の年齢組成を把握することは、瀬戸内海東部群マダイ資源の動向把握等を行ううえで非常に重要なことである。
- [成果の内容・特徴]
- 加太地区では 2歳魚が最も多く漁獲され、 1-3歳魚で全漁獲物の約90%を占めている。このように加太地区では 3歳魚以下の若齢魚が漁獲主体となっている。
- 一本釣では 1-3歳魚、タイ網(マダイを主対象とする刺網)では 2-3歳魚、建網では1-2歳魚を多獲している。
- 近年の加太地区における全漁獲尾数は、1990年と1991年が約 187千尾で最も多く、逆に1997年と1998年がそれぞれ約86千尾、約88千尾で少ない。なお、13年間の平均漁獲尾数は約 126千尾である。
- 漁獲物の年齢組成から、当海域における完全加入年齢は 2歳と判断される。
- 1984年級群(1984年 5月に発生した群)から1990年級群までの 2-8歳の年齢別漁獲尾数の変化から、全減少係数Zは 7年級群の平均値よりZ=0.877 となり、生残率はS=0.416 となる。
- [成果の活用面・留意点]
- 友ヶ島周辺海域を漁場としている加太地区におけるマダイ漁獲物の年齢組成を把握することにより、瀬戸内海東部群マダイ資源の動向が把握でき、更に、資源特性値を推定することにより資源解析が可能となる。
[具体的データ]
図1 マダイ漁獲物の漁法別年齢組成
図2 マダイ漁獲物年齢組成の推移
図3 各年級群の年齢別漁獲尾数の変化(2〜8歳)
[その他]
研究課題名:複合的資源管理型漁業促進対策事業(マダイ)
予算区分 :国庫補助
研究期間 :昭和61年度〜平成11年度
研究担当者:堀木信男
発表論文等:平成10年度和歌山水試研究報告(掲載予定)