イサキの早期採卵による種苗生産技術開発について
- [要約]
- イサキは短期間の加温養成飼育でも早期自然産卵は可能で、種苗生産上特に問題はない。種苗生産は生物餌料(ワムシ、アルテミア)、配合飼料を用いて比較的簡単かつ安定的に稚魚の量産ができる。
和歌山県農林水産総合技術センタ− 水産増殖試験場・研究部
[連絡先] 0739-22-0506
[推進会議]瀬戸内海ブロック
[専門] 増養殖技術
[対象] イサキ
[分類] 研 究
- [背景・ねらい]
- イサキは黒潮の影響を受ける本邦沿岸域釣漁業などの重要魚種であって、その稚魚は紀伊水道の北部のような内海水の影響のある沿岸浅海域に多く分布する。和歌山県では沿岸釣漁業の基幹資源となっているが、近年は減少傾向にあり、漁業者の本種資源への関心は高く、放流種として期待されている。当場では漁業者からの強い要望を受けて1994年からイサキの早期採卵による種苗生産試験を開始し、種苗生産技術開発の確立を目指した。
- [成果の内容・特徴]
- @親魚の早期採卵は20日程度の加温養成飼育でも安定して良質の受精卵が得られ、種苗生産上問題はみられない(図1)。
- 餌料系列は生物餌料(選別S型ワムシ、S型ワムシ、養成アルテミア)、配合飼料の順に用いることができ、配合飼料への切り替えはスムーズに行える(図2)。
- 種苗生産では疾病、斃死などほとんど見られず、短期間に簡単かつ安定的に量産が可能で、高い生残率が得られた。(表1)
- [成果の活用面・留意点]
- イサキ種苗の量産は安定して高い生残率を得られることなどから、今後はマダイ、ヒラメに次ぐ栽培魚種として、栽培センターへの種苗生産技術の移行が可能である。
[具体的データ]
![](./feis1114-1.gif)
図1 加温区と自然区の産卵状況並びに水温変化('96年)
![](./feis1114-2.gif)
図2 種苗生産期における餌料系列
表1 種苗生産結果(平成6〜9年度)
[その他]
研究課題名:魚類種苗生産技術開発事業
予算区分 :県 単
研究期間 :平成11年度(平成6〜9年度)
研究担当者:狭間弘学
発表論文等: