瀬戸内海機船船びき網で使用される袋網の目合いと漁獲物の関係
- [要約]
- 瀬戸内海機船船びき網漁業で使用する袋網の見合いとカタクチイワシシラスの大きさの関係を調べた。その結果,モジ網の網目の対角線長と漁獲尾数がもっとも多いシラスサイズの最大体高とが一致していることがわかった。
徳島県水産試験場資源科
[連絡先] 0884-77-1251
[推進会議]瀬戸内海ブロック
[専門] 漁業生産
[対象] いわし
[分類] 調査
- [背景・ねらい]
- 徳島県の瀬戸内海機船船びき漁業の大部分は,イワシ類(主はカタクチイワシ)の稚仔魚であるシラスを周年漁獲対象としている。しかし,最近では使用する漁具の網目が小さくなり,商品価値の低い小さなシラスが漁獲されている。そのため,本漁業の操業形態を把握するとともに,どのくらいの目合いでどのくらいの大きさのカタクチイワシシラスが獲られているかを調査した。
- [成果の内容・特徴]
- 瀬戸内海機船船びき漁業の県内許可隻数74統のうち,69統がシラスを主な漁獲対象物としている。
- シラスを漁獲対象とする際に使用するパッチ網後端部の袋網は目合い260経(50センチの間に糸が約260本ある)もモジ網を使用している。
- 220,240,260経のモジ網オープニング目合いは,それぞれ1.92mm,1.73mm,1.58mmである。網目の対角線長に相当する体高をもつカタクチイワシの全長(体重)は25.7mm(50mg),23.9mm(37mg),22.5mm(30mg)である。
- 260経のパッチ網で漁獲されているカタクチイワシシラスの全長組成を見ると,やはり22mmサイズの割合がもっとも高く,その体高とモジ網の対角線長とは一致する。また,22mmより小さな魚が全体に占める尾数割合は30%となっている。
- なお,耳石を使った日齢査定結果から見ると,カタクチイワシのシラス時期の成長は水温の成長とともに大きくなるが,表面水温が25度を超えると逆に小さくなる傾向がある。成長のスピードは1日当たり約0.3〜0.8mmとなっている。
- [成果の活用面・留意点]
- 消費者ニーズに合う大きさのシラスを漁獲するための適切な目合いの大きさを検討する材料となるとともにm,漁業者への網目拡大の必要性を啓蒙していく資料として活用できる。今後は網目を通過したあとのシラスの生残についても検討し,現在の260経から240経,220経へとモジ網の網目拡大を行った場合の効果を把握する必要がある。
[具体的データ]
![](./feis1121-1.gif)
図1 260経モジ網と全長24mmのカタクチイワシ
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図2 カタクチイワシ稚仔魚の全長と体高・体幅の関係
表1 モジ網の目合いとカタクチイワシの大きさの関係
![](./feis1121-4.gif)
図3 260経の袋網で漁獲されるカタクチイワシシラス全長の尾数比率
![](./feis1121-5.gif)
耳石によるカタクチイワシシラスの日間成長量の変化
[その他]
研究課題名:複合的資源管理型漁業促進対策事業
予算区分 :水産振興
研究期間 :平成10年度
研究担当者:斎浦耕二
発表論文等: