ミルクイガイの種苗生産、養殖技術開発
- [要約]
- 栽培化に向けて大型水槽による種苗生産を行った。また、中間育成、養殖技術開発においては、タライ海底沈下方式により出荷サイズの貝を生産することに成功した。
大分県海洋水産研究センタ− 浅海研究所
[連絡先] 0978-22-2405
[推進会議]瀬戸内海ブロック
[専門] 増養殖技術
[対象] 他の二枚貝
[分類] 研究
- [背景・ねらい]
- 県内における資源量は減少しており、単価が高く増養殖対象種として有望であるため 平成6年より種苗生産研究を開始し、稚貝の生産とその後の栽培技術開発を目的とした。
- [成果の内容・特徴]
- これまで1t水槽での浮遊幼生飼育を行ってきたが、大型水槽(20t)水槽での飼育試験を行い1t水槽と同程度の生存率と成長が得られたため、より簡単に一度に多量の定着稚貝を得ることが可能になった。
- 穿刺法により雌雄識別後、分別して採卵を行うことによって、精子濃度の調整を行い、良質の受精卵と幼生を得ることができるようになった。
- 中間育成開始サイズが殻長10mm以下の場合は、腐泥の堆積が少なく、波浪の影響の少ない海域に垂下する方法が生存率が良かった。
- 平成9年4月に平均殻長10mmでタライに収容し、沖合海底に沈下する方法で中間育成を開始し、約3年で平均80mmの出荷サイズの貝を生産することに成功した。
- [成果の活用面・留意点]
- 大型水槽での幼生飼育が可能になり、より簡単で大規模な種苗供給の可能性がひろがった。
- 中間育成可能サイズが殻長10mm以上の場合は、海底沈下で飼育が可能だが、それ以下のサイズは、上記のように波浪、腐泥の影響の少ない海域に垂下する方が生存率は良かった。
- 養殖タライの収容密度の検討。
[具体的データ]
図1 大型水槽と1t水槽における歩留まりと成長
図2 タライ海底沈下におけるミルクイの成長
[その他]
研究課題名:浅海増養殖に関する研究事業(ミルクイ)
予算区分 :県単
研究期間 :平成6年〜
研究担当者:黒川彩子、木藪仁和、小川浩、井本有治
発表論文等:大分県海洋水産研究センタ−浅海研究所事業報告書(平成6〜9年)