ミミイカ生産技術開発試験


[要約]
 ミミイカは、マダイの一本釣餌料として重要であり、漁業者から生産技術の開発を望む声が強い。このため産卵・フ化条件を解明するとともに、適切な初期餌料(フ化〜全長10mm)および育成餌料(全長10mm〜)を明らかにした。
愛媛県中予水産試験場増殖室
[連絡先] 089-983-5378
[推進会議]  瀬戸内海ブロック水産業関係研究試験推進会議
[専門] 増養殖技術
[対象] 他のいか類
[分類] 研究

[背景・ねらい]
 ミミイカは瀬戸内海海域におけるマダイの一本釣用餌料として、重要な位置を占めているが、近年その漁獲量は著しく減少しており、漁業者および漁業団体から生産技術の開発を求める強い要望がある。このため、本試験ではミミイカの産卵・フ化条件を解明し、採卵から一本釣用餌料サイズまでの飼育技術を確立することとした。

[成果の内容・特徴] 

  1. 産卵・フ化
     雌のGSI平均値は5〜8月にかけて20を超えておりこの間が産卵期であると考えられる。 1尾あたりの産卵数は100粒、フ化までの有効積算水温は271.2℃・日、発生が進む最低水温は8.7℃であった。
  2. 初期餌料検索(フ化〜10mmサイズ)
    フ化イカへの給餌試験結果(表1)から、チャイロモアミ(アミ目 アミ亜目 アミ科)が最も適した餌料であることが判明した。フ化イカは、水槽底面付近で静置もしくはホバ−リングしながら触腕で捕食行動をおこなうため、水面付近を浮遊するサルエビ幼生および魚類稚仔には、あまり興味を示さなかった。なお、底棲性であるサルエビ稚エビおよびアミ類(コジマフクロアミ、チャイロモアミ)には積極的な捕食行動を示したが、遊泳速度が緩やかなチャイロモアミ(写真1)のみ活発に摂餌する事ができた。
  3. 育成餌料検索(10mmサイズ〜 )
     クルマエビ科の稚エビを給餌すれば、容易に育成できるが、長期間におよぶ給餌を考えると、成長速度(図1)が遅く、種苗生産が可能であるサルエビ稚エビが最も有効な餌料であると考えられる。
  4. 生産結果
     平成11年7〜9月にフ化イカ(平均胴長1.8mm)3,000尾を用いて飼育試験を実施し、1,445尾のミミイカ(平均胴長12mm:写真2)を生産することができた。給餌餌料は初期餌料としてチャイロモアミ、育成餌料としてクルマエビ稚エビを用いた。

[成果の活用面・留意点]

ミミイカの産卵・フ化条件および適正な餌料は概ね解明できた。今後は初期餌料であるチャイロモアミの大量培養方法を確立し、量産技術を開発する。

[具体的データ]

表1 ふ化イカへの給餌試験結果


写真1 チャイロモアミ(体長 8mm)


写真2 種苗生産したミミイカ(胴長 12mm)


[その他]
研究課題名:ミミイカ種苗生産技術開発、ミミイカ量産技術開発
予算区分:県単
研究期間:平成7〜11年度、平成12〜16年度
研究担当者:八木秀志
発表論文等: