福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所 [連絡先] 0979-82-2151 [推進会議] 瀬戸内海ブロック水産業関係研究試験推進会議 [専門] 漁業生産 [対象] かき [分類] 普及
[成果の内容・特徴]
豊前海におけるカキ漁場の有効利用を図るため、延縄式によるカキ養殖試験を行った。
@成長:10月時におけるカキ1個体当たりの平均重量は、延縄式の20.9gに対して、イカダ式では15.5gであり、延縄式の方が成長が良いことが分かった(表1)。さらに、付着基盤1個当たりの付着個数、重量ともにイカダ式に比べて延縄式の方が良く、重量で比較すると10月時で約2倍の差がみられた(表2)。また、延縄式施設への波浪による破損は見られなかった。
A費用対効果:イカダでの垂下ロープ1本当たりの平均的な収穫量は8kgであり、延縄の場合はその2倍の収量が見込まれる。その結果、施設面積当たりの収量は延縄64kg/m2に対してイカダ40kg/m2、施設費に係る費用で比較すると延縄107kg/万円に対してイカダは80kg/万円となり、延縄式による養殖はイカダ養殖と比べて、施設面積あるいは施設に要する費用面からみても良好であることが分かった。
以上のことから、延縄式によるカキ養殖は、イカダ式のそれと比べて成長、収穫量および費用対効果の面からも優れているといえる。
問題点としては、カキが成長して重量が重くなった場合、幹ロープがたわみ、垂下ロープ同士が接触し、カキの脱落等が見られる。今後、施設の改良を行うと同時に、漁業者への普及を図る。
[具体的データ]
図1 延縄式カキ養殖施設
施設の幹ロープの長さは50mとし、10m間隔にブイ(浮力250kg)を設置し、ブイの両端 を幹ロープと連結した。幹ロープには50cm間隔で付着基盤を付けた垂下ロープを垂下した。その際、垂下ロープは幹ロープ1本当たり100本とした。
表1 カキ1個体当たりの平均重量の比較
表2 付着基盤1個当たりのカキ付着個数と重量(g)
[その他] 研究課題名:海面養殖高度化推進事業 予算区分 :水産振興 研究期間 :平成10〜11年度 研究担当者:中川浩一 発表論文等:未発表