Q.漁業者と現場で話すと中層魚はあまり減ってないが、底ものが減っているとの話をきく。資源の減少より、漁業者の減少が漁獲減に影響しているとの話は驚きで、漁業者の話との差を感じた。 A.あくまでも瀬戸内海全体の話であり、海域・灘によって差はあるので、地域、地域での感じ方に違いが出てくるのではないか。底ものと中層魚については、ここではデータのある魚種について話した。データがないので資源評価は難しいが、クルマエビ、マコガレイ、小型エビなどは大きく減っている言われており、そのように感じる。しかし、公的なデータが少なく、漁獲量データすらないものもあるため、このような解析を行うまでに至らないのが現状。 Q.広島ではマダイ、ヒラメ、マコガレイの放流を行っているが、漁獲動向との関係はどうなっているのか? A.今日の話の中では、サワラ、マダイ、ヒラメは放流を行っている。ヒラメについては、資源解析の結果、放流効果が認められている。マダイに関してはあまり効果が認められない。サワラについてもあまり効果は認められていない。 Q.サワラについては、各所で放流が行われた結果資源が増えたとの報道を目にしたが。 A.近年は、放流効果がないとされている。また、放流が行われていない日本海で非常に増えているのは気候変動の影響で分布が大きく広がったことによると思われる。
Q.大野町でアサリ養殖を行っているものだが、うらやましい話で、干潟でできるような何かいい工夫はないか。 A.干潟のかぶせ網の研究は行っている。 Q.餌が一番気になる、何か手はないか。 A.今後の課題として受け止める。 Q.クルマエビ養殖場でアサリが利用している餌は他の干潟の餌と同じか、違うのか。 A.どのような起源の餌を食べているかは増養殖研の研究によると天然と餌の比率は異なっているらしいとの結果、プランクトン以外の餌も食べていると思われる。 Q.餌が違うとアサリの蛋白組成等異なるのか。 A.まだ調べていないが、おそらく異なるものと思われる。ただ、ブランド化することで違いをプラスとすることができるのはないか。 Q.ブラウンウォーターを湧かすときに何か添加するのか。 A.通常と同様のエビ餌とフンを基に行っている。発生の状況は池によって異なっている。 Q.クルマエビがアサリを食害することに対して囲い網等の設置は如何か。 A. あくまでクルマエビが主となるので、エビの取り上げの障害となる構造物の設置等は難しい、そのためサイズ調節での対応を考えた。 Q.アサリ養殖でのホタテ貝・牡蠣貝殻の利用はどうか。 A.網袋に基材としてそれらを利用して入れ、そのまま袋養殖する方法が広がりつつある。
Q.天然の魚はどこからタウリンをとっているのか、また人間は。 A.天然魚は、餌となるアサリ・甲殻類・二枚貝から摂取。これらは、タウリンが豊富である。白身より赤身魚、特に血合いに多い。ノリにも多く含まれる。人間は、これらから摂取している。 Q.猫では必須であるが、タウリンは魚で循環器系に影響あるか。 A.これからの宿題、タウリン制限食の魚は元気がなくなる。 Q.イカゴロを餌として利用する場合、カドミウム含量が多いことが問題。タウリン含量が多いことと関係あるのか。 A.関係はありそう、肝臓中にメタロチオネインとして蓄積か。 【補足】養殖餌にはもともと魚粉が使用されていたが、価格高騰のため大豆タンパクで代替した場合、サポニンの影響で成長・生理状態に悪影響が見られたため、タウリンでの影響軽減が図られ何割かの代替が可能になった経緯がある。餌自作の実験は大変である。