安全な二枚貝をもっと食べよう!



アサリ


 一般の方々とお話をしたり、インターネットの掲示板の書き込みを眺めると、「牡蛎はお腹を
壊すからなるべく食べない方が良い」「アサリが住んでいる河口域は汚いので食べる気がしな
い」といったことが平然と述べられていて愕然とすることがあります。
 有毒プランクトンの発生で影響を受けるのは二枚貝を中心とした貝類で、貝毒発生で出荷が
規制されるたびに二枚貝に対する負のイメージが増幅していき、消費が減衰する懸念が指摘
されています。
 縄文時代の遺跡からは、貝殻やお魚の骨が多量に出土します。いわゆる貝塚と呼ばれるも
ので、これは我々日本人のご先祖がタンパク源として魚貝類をいかに消費していたかを物語っ
ています。現代日本人は食生活が肉中心の洋風化したといわれつつ、それでも世界一レベル
の魚貝類消費量を保っています。こうした食文化は次のような点から大変に重要であると考え
ています。

<二枚貝はおいしい>
 二枚貝にはうま味成分であるグリシンなどの遊離アミノ酸がたっぷりと含まれているだけでな
く、コハク酸などのうま味を強調する補助成分も含まれています。こうしたうま味成分とプリプリ
とした触感とグリコーゲンのまろやかさが加わり、海産物の中でも大変美味しい食材となってい
ます。

<二枚貝は栄養たっぷり>
 二枚貝は糖類、脂質、タンパク質の3大栄養素がバランス良く含まれているだけでなく、ビタ
ミンやミネラルなどの微量栄養素も大変豊富に含まれており、牛乳や卵同様に完全食品に位
置づけられます。特に消化の良いグリコーゲン、EPAやDHA、鉄分、亜鉛、肝機能を整えるタ
ウリンなどはあらゆる食品の中でトップクラスの含有量を誇っています。

<二枚貝は餌を与えなくても育つ!>
 肉や乳製品など我々が口にするタンパク源のほとんどが穀物を餌として育てられた動物(家
畜)によって支えられています。また海産物でも養殖魚などは同様に餌を与えて人為的に育て
たものです。この場合餌代が全コストの半分ぐらいに達することもあります。しかし二枚貝の場
合、天然漁獲は言うまでもなく、養殖貝であっても餌は一切与えていません。自然の海で発生
したプランクトンを食べさせることで、タンパク生産ができる優れものなのです。これほど粗放
的で効率的なタンパク質生産システムは陸上では考えられません。

<二枚貝は地球環境にやさしい>
 二枚貝養殖は餌を与えないこと、生産の過程で照明や保温などのエネルギーを一切使わな
い、また成長の過程で貝殻として海水中の二酸化炭素を固定するなど、地球環境に最もやさ
しい生物生産活動と言えます。さらに最も重要なのは、陸上から流れ込んだ窒素やリンなどで
増殖したプランクトンを取り込んで、プランクトンの異常増殖による赤潮の発生やヘドロの堆積
も抑えてくれます。二枚貝をどんどん消費することが、地球環境を守る一歩でもあります。

 貝毒は特定の地域で一時的に貝類が毒化する現象であり、これら有毒プランクトンが出現し
ていない時期は全く問題となりません。また一度毒化した貝類でも速やかに毒は対外に排出さ
れ残存しません。きちんとした情報に基づき、何も影響がない時には安心して二枚貝を消費す
ることを望んでいます。


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