所長あいさつ

瀬戸内海区水産研究所長  時村 宗春

 瀬戸内海区水産研究所は、瀬戸内海の西部、世界遺産に登録されている厳島神社を抱く宮島の対岸にあります。研究所は、母体である(独)水産総合研究センターが5年単位の第3期に入る2011年4月に、玉野栽培漁業センターと屋島栽培漁業センターを統合し、さらに、研究部を大型化して、生産環境部、環境保全研究センター、増養殖部、海産無脊椎動物研究センター、及び企画・管理担当の業務推進部、並びに調査船しらふじ丸に再編成しました。
 このうち、センターと名が付いているのは、全国対応をするという意味です。したがって、当水研は、環境保全(有害・有毒藻類ならびに有害物質)及び増養殖の対象となる海産無脊椎動物の研究に関しては、「全国対応をします。」という看板を掲げてゆくことになります。
 また、センターではありませんが、生産環境部は、カタクチイワシやマダイ、ヒラメなどの沿岸の重要魚種の資源管理、及び沿岸の海洋環境や藻場・干潟に関する研究を行い、増養殖部は、名前のとおり、種苗放流等によりトラフグ等の資源を増やす取り組みや、陸上養殖に関する研究を行って、瀬戸内海の漁業振興に貢献することを目指しております。
 瀬戸内海は、名前のとおり「内海」で、日本を代表する沿岸域ですし、栽培漁業発祥の地でもあります。したがって、この海の漁業振興を担当するこれらの研究「部」も、前述のセンターと同様に、沿岸漁業振興に関する全国の研究のメッカになることを志しています。
 以上のようなミッションを果たすために、重要と考えていることは以下の2点です。一つは、漁業現場に貢献する研究を行うことです。その際に、それぞれの部・センターが個別の研究を行うだけでなく、連携して取り組むことにより、沿岸漁業振興に係る複雑で困難な課題にも立ち向かえるような懐の深い研究所になる必要があると考えています。もう一つは、世界レベルの研究をすることです。現場に貢献することと、高いレベルを維持することの両立はむずかしいことですが、誇りをもって研究を続けるためにも、また現場に質の高い貢献をするためにも、高い研究レベルを維持することは極めて重要だと思います。
 今後とも、瀬戸内海の漁業振興を図りながら、日本全国の沿岸漁業振興につながる、国際的レベルの研究に取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご支援、さらに叱咤激励をよろしくお願い申し上げます。 
平成23年4月