資源生産部

屋島庁舎　Yashima Laboratory 養殖生産グループ　

　瀬戸内海の重要魚介類の養殖を行っており、特に、環境保全や疾病防除等に対してメリットの高い閉鎖循環システムの開発とそれを用いた種苗生産・養殖研究を主体として地域の養殖産業の創出も視野に入れて取り組んでいます。

     
【閉鎖循環システムのユニット水槽】  【水産機構開発の泡沫分離装置】 【陸上完全養殖サツキマス】

陸上養殖システム
【普及型閉鎖循環システムの開発】
　種苗生産・親魚養成で大きな成果が得られ、現在、はた類やます類の陸上養殖の研究を推進中

海産魚の育種研究
【優良形質をもつ品種の開発】
　植物で開発されたTILLING法を使い、筋肉が2倍になる養殖魚の作出に関する品種改良の研究をしています。これまでメダカでは成功し、現在は、トラフグを用いて品種改良の実験中。

メンバー

 グループ長　Head 手塚　信弘　Nobuhiro Tezuka
 主任研究員　Senior Researcher　 吉浦　康寿　Yasutoshi Yoshiura
 主任研究員　Senior Researcher 今井　正　　 Tadashi Imai
 主任研究員　Senior Researcher 森田　哲男 　Tetuo Morita
 主任研究員　Researcher 今井　智　　　Satoshi Imai

研究のトピックス

　養殖生産グループでは、キジハタやクエを陸上水槽で養殖する技術を開発するために、飼育に適した餌料や環境に関する研究を行っています。また、ます類（サクラマス、サツキマス、ニジマス）を海水中で効率的に大きく育てる養殖技術を開発するために、養殖に適した親魚飼育と採卵方法、養殖条件や育種に関する研究に取り組んでいます。
　トラフグでは、ゲノム編集およびTILLING（ティリング）法といった新しい品改良技術を導入し、身が厚くて早く大きくなる「ダブルマッスル・高成長トラフグ」系統を作出し、養殖に利用するための研究を行っています。

研究業績（過去５年分）

　・今井　智・小金隆之・山下貴示・河野　博（2019）人工種苗生産されたキジハタ仔稚魚の遊泳・摂餌関連形質の発達．東京海洋大学研究報告,15：17-32
　･黒柳美和・木下政人・吉浦康寿（2018）養殖魚におけるTILLING法を用いた品種改良技術の確立　日本で開発された水産育種技術を使ったダブルマッスルトラフグの作出．化学と生物，56巻8号：523-525
　・吉川廣幸･井野靖子･重永航平･片山貴士･黒柳美和・吉浦康寿（2018）Production of tiger puffer Takifugu rubripes from cryopreserved testicular germ cells using surrogate broodstock technology．Aquaculture，493巻：302-313
　・今井　正・出濱和弥・坂見知子・高志利宣・森田哲男・今井　智・山本義久・岡　雅一（2018）海水型生物ろ過槽のろ材のアンモニア酸化活性とアンモニア酸化微生物に及ぼすアンモニア供給不足の影響．水産増殖，66巻3号：243–250
　・今井　正・吉浦康寿・高志利宣・森田哲男・今井　智・山本義久・岡　雅一（2017）泡沫分離装置を用いた水槽内残留精子の効率的な除去．水産増殖，65巻2号：145-147
・今井　正・片山貴士・香川要介・山本義久・吉浦康寿（2017）TILLING法を用いたトラフグの効率的選抜のための水温調節による稚魚の成長制御．水産増殖，65巻1号：41–50
　・M Iida, S Imai and T Katayama (2017) Effect of riverbed conditions on survival of planted eyed eggs in chum salmon Oncorhynchus keta. Fisheries Science, 83(2):291-300
　・山本義久・森田哲男・陸上養殖研究会（2017）循環式陸上養殖　飼育ステージ別 〈国内外〉の事例にみる最新技術と産業化，東京，緑書房
・森田哲男・今井正・山本義久（2016）淡水浴と低塩分海水浴が単性類の寄生虫マハタハダムシの駆虫と宿主キジハタの生残に及ぼす影響．水産増殖，64巻4号，399-402
　・清水智仁・森田哲男・山本義久（2016）A water-recycling system forhatchery rearing of chum salmon fry．North Pacific Anadromous Fish Commission Bulletin， 107-111
　・今井　正・出濱和弥・坂見知子・高志利宣・森田哲男・今井　智・山本義久・岡　雅一（2016）海水型生物ろ過槽のろ材のアンモニア酸化活性に及ぼす乾燥の影響．水産増殖，64巻3号：273–280