西部瀬戸内海ベントス・低次生産調査

航海期間:平成25年10月3日~10月8日

 「瀬戸内海における一次生産消費者および底魚の餌料生物としてのベントス生産量に関する研究」のため、瀬戸内海西部の周防灘および伊予灘において、今年度3回目の調査を実施しました。
 海底に生息する底生生物(ベントス)は、植物プランクトンによって作り出され海底に沈降する有機物を消費するとともに、底魚の餌となることで底魚の生産を支え海底の物質循環に貢献しています。また、その量や組成は底質の環境に左右されて変動すると考えられます。
 これまでも、同様の調査を瀬戸内海の東部大阪湾より順に行ってきました。各調査地点では、「CTD測定器によって海底1mから表層0mまで10cm毎の各層の水温、塩分、照度および溶存酸素濃度等の基礎的データの測定」、「鉛直的な栄養塩濃度を調べるために10m間隔での採水」さらに、「浮魚の餌となる動物プランクトンの量を調べるためのネット採集」のほか、「海底のベントス現存量を調べるためスミス・マッキンタイヤー採泥器とアシュラ採泥器による採泥」を行いました。採取した泥については、ただちに船上において海水でふるい生物を選り分けます。これらの調査データから、瀬戸内海全域におけるベントス生産量の把握とその変化の要因を解析します。
 また、今回の調査では「藻場由来有機物探査調査」のための海底堆積物採集も併せて実施しました。取得した試料は、瀬戸内海の潮の流れを再現した海洋物理モデルによるアマモ由来炭素の移動・堆積予測に役立てる予定です。



 

上左:CTDによる水温、塩分、光量子量を測定します。
上右:プランクトンネットで動物プランクトンを採集します。
下左:G.S.型表層採泥器(アシュラ)によって海底の泥を採集します。
下右:スミス・マッキンタイヤー(SM)型採泥器によってベントス量を調べるための泥を採集します。

SM採泥器によって採集した泥をふるってベントスを集めます。
小さなベントスを調べるため、アシュラで採泥した泥を船上で固定します。
今回の調査定点図です。