カタクチイワシ卵仔魚分布量調査

航海期間:平成26年5月14日~5月17日

 「瀬戸内海におけるカタクチイワシシラス漁況予測手法の高度化に関する研究」のため、瀬戸内海東部の大阪湾と播磨灘において、今年度1回目の調査を実施しました。この調査の目的は、シラス漁の漁期前や漁期中のカタクチイワシ卵と仔魚の分布量を調べることです。1年の中で特に産卵量や漁獲量が多い5~7月にかけて、同様の調査を4回実施する予定です。今年度は5年の計画のうちの4年目になります。
 カタクチイワシは瀬戸内海で最も漁獲量が多い魚種です。カタクチイワシの子供であるシラスは単価が高いことから特に重要な漁獲対象となっています。そのため府県の水産研究機関が独自に、また水産庁や水産総合研究センターと共同で今年はどれくらい獲れそうかという予報を漁期前に公表しており(http://feis.fra.affrc.go.jp/katakuchi/index.html)、私たちのグループではより正確な予報を目指しています。本調査の結果から、カタクチイワシの卵や仔魚の分布量、餌の量からその後のシラスの漁獲量をより正確に予測できないか、検討したいと考えています。またどのような海洋環境がカタクチイワシの初期生活期の生き残りに影響するのかを明らかにできればと考えています。

白い線で囲まれた海域が調査海域である大阪湾と播磨灘、星印が瀬戸内海区水産研究所。往復で約700kmの旅路です。
 
本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋を挟んで東側の海域が大阪湾、西側の海域が播磨灘。
  瀬戸内海産カタクチイワシ。
 
カタクチイワシはいろいろなサイズで利用されています。
  水揚げ直後のシラス。体が半透明です。
本調査の対象であるカタクチイワシの卵と仔魚。卵は楕円形です。
  調査点に着くとまず測器で水温と塩分を測定します。
  バンドン採水器で所定層の海水を採取します。     採取した海水を実験室にて濾過後に固定します。後日、陸上実験室の顕微鏡下でカタクチイワシ仔魚の餌であるカイアシ類のノープリウス幼生を計数します。
 
 
小型のネット(改良型ノルパックネット)でカタクチイワシの卵や仔魚を採集します。
大型のネット(ボンゴネット)でもカタクチイワシの卵や仔魚を採集します。
貴重なサンプルをこぼさないように丁寧に標本瓶に入れて固定し、持ち帰ります。