しらふじ丸調査航海報告
豊後水道有害赤潮調査
航海期間:平成26年7月15日~7月21日
近年、豊後水道ではカレニア・ミキモトイという魚貝類を斃死させるプランクトンが大規模に赤潮を形成し、多大な漁業被害が発生しています。カレニアがよく増える環境条件は培養実験では明らかにされていますが、赤潮の発生要因は海域ごとに特徴があり、異なります。そこで、豊後水道におけるカレニアの出現状況を調査するとともに、カレニアが発生する環境、特に増殖に必要な海水中の無機態窒素やリンなどの栄養塩および溶存鉄の濃度を調べ、夏季にこの海域でカレニアがどの程度増殖可能かを調べることを目的として調査を実施しました。
調査期間には豊後水道の愛媛県宇和島湾沿岸でカレニア赤潮が発生しており、私たちの調査でも愛媛県沿岸北部に比較的高密度でカレニアが発生していること、沖合にも低密度で広く分布していることが確認できました。一方で、大分県沿岸湾奥部ではカレニアがほとんど出現していませんでした。このようなカレニアの分布と栄養塩環境との関係を明らかにし、豊後水道における大規模な赤潮の発生要因を明らかにしたいと考えています。
本調査は水産庁委託事業「漁場環境・生物多様性保全総合対策事業のうち赤潮・貧酸素水塊対策推進事業(瀬戸内海等での有害赤潮発生機構解明と予察・被害防止等技術開発)」により実施しました。
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採水器から海水をサンプリングしているところです。 |
ニスキン採水器で目的の水深の海水を採水します。 |
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海水をフィルターでろ過すると、フィルターにプランクトンが回収されて色がつきます。表層ではプランクトンが多く、底層ではプランクトンが少ないことがわかります(左から定点UB-6表層、5m層、底層)。 |